修学旅行か何かで貸切のバスに乗っていた。
 目的地まで残り停留所一つというところになったとき、窓の外に一人の中年女性を見かけた。黒のワンピース(?)を着ている。
 その中年女性は、我々の乗っているバスを認めると、おもむろに裾をまくり、後ろを向いた。
 パンツを穿いていない。
 なんか年相応に美しくない臀部だったので目をそらしたのだが、驚いたことに、彼女が猛スピードでバスに追いすがってくるではないか。
 そして、バスが信号で停車するたびに、彼女は我々に対してその美しくない臀部を披露するのであった。
 なんなんだよあのおばさん、と、いい加減うんざりしていたところ、目が覚めた。

昨夜、蚊にまとわりつかれてなかなか眠れなかった

 多くの人が味わったことがあるであろう、不愉快な体験である。
 耳元で鳴る羽音。あの音には、人間を本能的に目覚めさせる効果があると何かの番組で見たことがある。
 鬱陶しいからといって闇雲にはたこうとすると、風圧で鼓膜が破れる恐れがあるので注意が必要である。
 ところで、上記の文の「蚊」を「美少女」に置き換えてみるとどうなるであろうか。

昨夜、美少女がまとわりついてきてなかなか眠れなかった

 甘美である。美少女の滑らかな肌、乳房から伝わる鼓動、触れあう皮膚から感じる体温。
 想像するだけでも心が躍る。
 しかし、私にまとわりついているのが蚊であるという事実に変わりはないのだった。